今、ゴルフ界をにぎわしている。
ブライソン・デシャンボー。
アイアンのクラブの長さが一緒なことで知られる方もいらっしゃいますがゴルフ界きっての理論派。
『ゴルフの科学者』とも言われているほどです。
今回は、デシャンボーのスイングについて徹底解析していきます。
合理的なスイングをするので、アマチュアの方にも向いている部分は多いハズです。
取り入れられるとこは真似しても良いかもしれません。
★デシャンボーとはこんな人です。
★デシャンボーのグリップの握り方と使っているグリップ
★デシャンボーのアドレスの仕方
★デシャンボーのテークバックのポイント
★デシャンボーのダウンスイングからインパクトの動作
★デシャンボーのフォロースルーの取り方
幼少からプロゴルファーを目指し、2007年より本格的にレッスン活動を開始。
片山 晋呉プロを4度の賞金王へと導いたツアープロコーチ谷 将貴の主宰している
TANI MASAKI GOLF ACADEMY 21 の公認インストラクター
多くのアマチュアの方を上達やお悩みに応えています。
2021年 デシャンボーの最新スイングです。
2021年のUSPGAツアー初戦のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズの練習ラウンドのデシャンボーの最新スイングです。
なんとボール初速が、89.4m/sを叩きだしたスイングです。
ドライバーで250ヤード飛ばす方のボール初速は、約60m/s
それを考えたら脅威的なスイングスピード。
https://twitter.com/foresightsports/status/1347293730651344897?s=21
デシャンボーのスイングの秘密は下記を見てみてください。
デシャンボーのスイングを単刀直入にいうと
デシャンボーのスイングを単刀直入にいうと、ロボットスイング。
機械にゴルフをやらせてみたらこんなスイングをします。という感じです。
ゴルフクラブメーカーさんは、ゴルフクラブ開発をする際にスイングロボットを使います。
下の動画がスイングロボットです。
このスイングロボットとスイング発想は同じ感じなんじゃないかな?と思います。
デシャンボーのスイングはそこに、人間の体の柔らかさを付け加えて飛距離を出している感じです。
それでは、デシャンボーとスイングを細かく解説していきます。
デシャンボーを知らない人に
まずデシャンボーを知らない方に少し紹介していきます。
ブライソン・デシャンボー(Bryson Dechambeau)
1993年9月26日生の27歳 ※2020年11月現在
アメリカのカリフォルニア州クロービス出身です。
身長は185cm,体重は108キロ。
ここ数カ月で肉体改造を行い一回り体が大きくなって飛距離UPに成功しています。
2015年に全米アマチュア、NCAAゴルフ選手権をタイトルを取っており学生時代から有望の選手。
全米アマチュアで優勝すると、アマチュア枠でマスターズに招待されるので2016年にマスターズに出ています。
そのマスターズで21位となり翌週にプロ宣言。
翌年の2017年には、ジョンディア・クラシックでいきなりツアー初優勝。
2020年には、メジャーの全米オープンゴルフ選手権でメジャー初優勝。
正確のショットに加え、飛距離アップしたことで更に今後を期待される選手です。
https://twitter.com/b_dechambeau/status/1296275820642787328?s=21
それでは、デシャンボーのスイングについて迫っていきましょう。
デシャンボーのグリップの握り方とグリップ。
現在の主流は、ストロンググリップ。
通称、フックグリップです。
フェースを閉じやすいグリップとしてスライサーの方に向いているグリップです。
ですが、デシャンボーのグリップは逆でウィークグリップで握っています。
右打ちの方であれば、左手は上から被せこぶしが3個くらい見えるのがストロンググリップ。
しかし、デシャンボーのグリップの握り方はこぶしがあまり見えません。
正直、スライスで困っているアマチュアの方は取り入れなくても良いと思います。
そして、使っているグリップも特徴的。
使っているグリップは『Jumbomax』というブランド。
超極太で重量があります。
太さは、普段皆さんが使っているグリップにガムテープを5周巻いた感じです。
重さは、皆さんが使っているのは50グラム台ですがなんと120グラム台です。
【グリップが太いメリットとデメリット】
メリット・・・手の平や手首を使いづらい。フックに困っている人は有効。
デメリット・・・手首を使いづらいということは、ローテーションがしづらい。スライサーには向かず飛距離も出しづらい。
【グリップが重いメリットとデメリット】
メリット・・・グリップ側が重いとテコの原理でインパクト以降にヘッドが加速するカウンターバランスになりやすいので飛距離が期待できる。
デメリット・・・ヘッドの重みを感じにくくなるのでリズムが取りづらくなる。
以上がデシャンボーのグリップの握り方と現在、使っているグリップです。
デシャンボーのアドレス
次にデシャンボーのアドレスを見ていきましょう。
このアドレスにも特徴があり、参考になる部分があります。
デシャンボーの正面からのアドレス
デシャンボーの正面からのアドレスで特徴的なのは、
①アドレスの重心配分が5:5ではなく左6:右4になっている。
②左肩を支点に左腕とクラブが1直線になっている。
この2点でしょう。
ゴルフのインパクトは左9:右1の重心配分で当たります。
その為、左足重心の左6:右4の重心で構えている感じがします。
冒頭のスイングロボットは固定されていますからロボット式です。
【アドレス時の重心が左6:右4のメリットとデメリット】
メリット・・・最終的には左に乗るんだからということで体の左右のブレが減りミート率は上がります。
デメリット・・・体重移動が少なくなるので飛距離は少し落ちると思います。
【アドレス時の重心が左5:右5のメリットとデメリット】
メリット・・・体重移動を使えるので飛距離が少し出やすいと思います。
デメリット・・・体の左右のブレが出る分は打点のズレが出やすい。
そして、もう一つの特徴。
左肩を支点に左腕とクラブが1直線になっている。
スイングロボットも直線的です。
例えば、左肩を支点に左腕とクラブを合わせた距離が2メートルだとします。
インパクト時に2メートルが同じだったらボールとの距離が変わらないハズですからミート率は高いです。
逆に腕の長さが変わったら、ボールに届かないなどのミスが出るハズです。
よくいう左手の長さが変わってしまう左肘が引けるなどが代表的な悪い例。
スイング中は手首・右肘は曲がっていますが、単純にするなら腕とクラブが直線の方が簡単でしょう。
デシャンボーの後方からのアドレス
次に後方からのアドレスです。
デシャンボーの後方からのアドレス
私の後方からのアドレス
前傾やヒザの曲がり方は身長は違えどバランス良く構えられています。
一点違うのは、左腕とクラブの手首の角度。
デシャンボーは腕とクラブが直線に近いです。
しかし、私のようなオーソドックスなタイプは左腕とクラブに角度がついている。
私のようなオーソドックスなタイプでは、腕とクラブに角度がついています。
左腕とクラブ。そして、ヘッドから肩までの下記の写真のような3角形(黄色線)ができます。
ヘッドから肩までが、例えば150センチだとしましょう。
左腕とクラブに角度がついているということは、伸ばせる量も多いということです。
代表的な悪いスイング動作として、アーリーリリースという動きがありますすが、
手首の角度が変わる為、インパクト時に例でいうと5センチ長さが伸びてしまいます。
伸びるということは、単純に下に伸びる訳ですからダフる。
もしくは、その分は体を伸び上がらせて距離を合わせる必要があります。
腕とクラブに曲がりがあるということは伸ばせる幅ができやすいということです。
デシャンボーはそこを棒状にすることで伸ばせる幅を少なくしスイングのムダを減らしています。
肩からヘッドまでの距離が同じ。体の位置が同じであれば元の位置に戻ってきやすい。
アドレスで腕とクラブが直線になっているメリットとデメリット
メリット・・・クラブと腕までの長さの余りがないのでミート率が上がりやすい。
デメリット・・・ボールと体の距離が離れるので初心者の方は不安かもしれません。
また、棒状態になりやすいので飛距離は落ちる可能性があり
アドレスで腕とクラブに角度がついている場合のメリットとデメリット
メリット・・・棒状ではないので、飛距離が出しやすい。
デメリット・・・曲がっている分は伸ばせる幅も多いので、打点がズレやすい。
デシャンボーのスイング時のテークバック
次にデシャンボーのスイング編にいきます。
まずはテークバックです。
ゴルフの科学者と言われているデシャンボーのスイングを見ていきましょう。
デシャンボーのテークバックで見て欲しいのは、
①体の回転のブレが左右、上下ともにあまりありません。
②上半身の使い方がシンプル。
③クラブの動きがオンプレーン。
④フェース面がいつでもスクエアな状態が長い。
デシャンボーのテークバック(正面の体の回転)
デシャンボーのテークバックで見てほしいポイントその①
体の左右、そして頭の位置もほとんどズレることがありません。
この動きはミート率、安定する球筋を打つには非常に真似したい動きです。
左足に6、右に4の重心のアドレスの体勢
その左足重心のままその場で回転をしていきます。
他のプロよりも左に重心を乗せたままでテークバックを行っています。
【重心が左に多く乗っているテークバックのメリットとデメリット】
・メリット・・・インパクトでは左重心になる為、初めから左重心を多めにして体の左右のブレを最小限にしている。
・デメリット・・・目標方向への体重を乗せる動きが少ないので飛距離が多少は落ちやすい。
ミート率を上げたい方は真似しても良いかもしれません。
少し飛距離が欲しいという方は、多少テークバックで右足側に重心が乗っていた方が体重移動をしっかり行えます。
頭のブレが少ない点はアマチュアの方は見習って欲しいです。
デシャンボーのテークバック(体の上下動)
デシャンボーのテークバックで見て欲しい点のその②
体の上下運動のブレが少ないこと。
この点もミート率を上げる、安定した球筋を打つには非常に大切です。
デシャンボーは左腕とクラブが直線的です。
左肩とクラブヘッドまでの距離が決まっています。
と言うことは、体の上下動が少なければ元の位置に戻りやすいということです。
アドレスから見ていきましょう。
デシャンボーのゴルフスイングは素晴らしいほどに体のブレがありません。
まさに、ロボットスイング。
ゴルフは再現性が高い方がいいですから是非とも見習いたい点です。
デシャンボーのテークバック (上半身の使い方がシンプル)
デシャンボーのテークバックで見て欲しい点のその③
上半身の動きが非常にシンプル。
デシャンボーのテークバック時の上半身で特徴的なのは、
・肩と両腕でできた3角形が出来ている時間が長い。
・ノーコックでテークバックを行なっている。
デシャンボーのテークバックの上半身の動きは簡単にいうと、アドレスの状態から体を捻じっているだけ。
腕の動きはシンプルにし体を腰回りで回転させて捻転しているだけだから再現性が高い。
手上げでテークバックを行なう人は見習って欲しい点。
肩と両腕で出来た3角形が変わらず体の回転だけで始動しています。
グリップが腰の横の位置に来ても、3角形がキープされノーコックでテークバックをしています。
左腕が地面の水平の位置に来たら最小限の右肘の曲がりが入っていきます。
手首はノーコックを保ったままです。
最後のトップオブスイングです。
多少の右肘の曲がりをキープしたまま捻転をしています。
ベースはノーコックですがヘッドの重みとスピードで意図的ではなく勝手にコックが入っている状態です。
【ノーコックで体の捻転だけでテークバックをしていくメリットとデメリット】
メリット・・・非常にシンプルな動きなので再現性は高く安定ショットしたスイングができる。
デメリット・・・体が固い人にはきつい動きです。
手首や肘を曲げる関節の動きが少ないので、切り返しでタメを作れない人は飛ばなくなってしまいます。
デシャンボーのテークバックは非常にショットが安定する動きが盛り込まれています。
しかし、体の柔軟性がある人と切り返しでタメが作れる方が限定の動きです。
自分のタイプを分かった上で良い部分は真似すると良いです。
デシャンボーのテークバック (クラブとフェースの動き)
デシャンボーのテークバックで見て欲しい点その③④。
クラブの動きがオンプレーンに近い。
クラブフェースの動きがいつでもスクエアに近い。
ゴルフの方向性は、スイング軌道とフェースの向きが重要です。
その両方の動きがまっすぐに近ければ曲がる要素は少ないです。
それでは、スイングを見ていきましょう。
始動では、スイングプレーンに沿ってクラブヘッドが上がっていきます。
クラブのリーディングエッジも上半身と一緒の為、スクエアに上がっています。
ここからクラブは多少オンプレーンから外れていきます。
左手首の角度をあまり変えていないのでクロス気味にシャフトが傾いていると予想されます。
しかし、フェース面はスクエアをキープしています。
トップでは、シャフトの傾きはオンプレーンから少し外れ目標方向より右に向いたシャフトクロス気味。
これも、左手首の角度をあまり変えない意識が多少のシャフトクロスになるんだと思います。
しかし、フェース面は斜め45°上に向いたスクエアな状態でトップオブスイングが作られています。
スイングプレーンにできるだけ平行な時間が長い。
フェース面がスクエアな時間が長い。
これは、曲がらない人の特徴です。
ぜひ、見習っていきましょう。
デシャンボーのダウンスイングからインパクト
続いてデシャンボーのダウンスイングです。
特徴的なのは下半身の動き方です。
ポイントは3つ。
・下半身の強烈な蹴りで体の速度を上げて飛距離アップをしている。
・インパクトまでアドレス時の前傾があまり変わらない。
・クラブがほぼオンプレーンでフェースの向きもスクエアが維持できている。
この3つがデシャンボーのダウンスイングの素晴らしい点です。
デシャンボーのダウンスイングからインパクト(正面)
デシャンボーはトップで左にすでに重心が乗っています。
その為、体重移動というものはあまりありません。
その分、すぐに回転の動きを取り入れています。
シンプルです。
右肩や右足を残しながら左ヒザと腰で爆発的な切り返しをしています。
テークバックはノーコックですが切り返しで下半身を使って強烈なタメを作っています。
インパクトでも左腕とクラブが直線になっています。
左腕がベースのスイングです。
切り返しでは、曲がった左ひざをかかと方向へ蹴る動きで腰の回転のスピードを上げています。
飛距離を伸ばしたい方は、左ひざの伸縮運動を早く行う。
結果、腰が使え体の回転速度が上がりヘッドスピード向上に繋がります。
ここはアマチュアの方は取り入れたいところです。
デシャンボーのダウンスイングからインパクト (後方)
デシャンボーといったらロボットスイング。
前傾がアドレス、テークバック、トップ、ダウンスイングまであまり変わらない点が素晴らしいです。
体とボールとの距離が変わったら、トップやダフリのミスが当然出やすくなります。
そこがまったく変わらない点はミート率を上げる点で非常に大切です。
デシャンボーのダウンスイング時のクラブの動き
デシャンボーのダウンスイング時のクラブの動きはほぼオンプレーンで降りてきます。
ボールを曲げない為には、非常に重要です。
ややスイングプレーンの下からクラブが降りてきているのでストレートに近いドローボールのスイングです。
インパクトでは、アドレス時とほぼ同じライ角でインパクトをしています。
クラブの動きがほぼプレーンに平行なスイングをしていますのでクラブが暴れていません。
方向性を良くしたい方は見習ってクラブの動きをプレーンに沿えるようにするといいです。
デシャンボーのインパクトからフィニッシュまで
最後に、デシャンボーのインパクトからフィニッシュまでです。
ここでの良い点は2つ。
・フォロースルーの前傾が変わらない。
・フェースのローテーションが少ない。
この2点が良い点です。
デシャンボーのインパクトからフィニッシュ(正面)
デシャンボーのインパクトからフィニッシュを見ていきましょう。
基本は回転スイングなので、フィニッシュはアルファベットのIの字のフィニッシュになります。
頭を残して遠心力を大きく使ってフォロースルーが取れています。
最後はIの字のレベルなフィニッシュ。
デシャンボーのインパクトからフィニッシュ(後方)
デシャンボーのインパクトからフィニッシュにかけてのスイングです。
インパクトの前傾が変わらずにフォロースルーが取れています。
そして、フェースも捻じることなくスクエアを維持。
ここでもフェースをあまり返す動きを入れていません。
フィニッシュでは体は起き上がります。
デシャンボーのスイングのまとめ
デシャンボーのスイングを細かく解説しました。
良い点と悪い点もありました。
基本的にデシャンボーのスイングはロボットスイング。
特に上半身、クラブの動きは、
・上半身の上下、左右のブレがない。
・コックはシンプルにノーコックで基本は使っている。
・クラブの動きはオンプレーンでフェースがいつでもスクエア。
上半身の動きは、曲がらない。ミート率が高い要素が多い。
しかし、ノーコックでクラブが動いているのでアマチュアの方には飛ばない要素です。
ですが、デシャンボーは強烈な下半身の回転で切り返しでタメを作って飛距離を出しています。
年齢の高い方にはちょっと厳しいスイングかもしれません。
でも見習うべき点は非常に多いのでデシャンボーのスイングから良い点は吸収しましょう。